日産、車と野生生物の接触事故ゼロを目指す「日産アニマラートプロジェクト」開始

日産自動車は、『世界野生生物の日』に合わせて、クルマと野生生物の接触事故(ロードキル)ゼロを目指す「日産アニマラートプロジェクト」を開始すると発表した。
このプロジェクトは、歩行者にクルマの接近を知らせるEV(電気自動車)の車両接近通報装置の仕組みから着想して、動物に合わせた周波数を発する装置を導入することで、クルマと野生生物の接触事故ゼロを目指す取り組みとなる。国土の約7割を森林が占める日本において、各地域に生息する野生生物とクルマとの共存は重要なテーマの1つとしている。

第1弾は、日産、奄美市、環境省、岡山理科大学、T.M.WORKSら7団体が連携し、産官学一丸となって鹿児島県奄美大島と徳之島にのみ生息する日本固有種で、絶滅危惧IB類(近い将来に絶滅の危険性が高い種)に指定されている『アマミノクロウサギ』の保護を目指す。2021年7月に世界自然遺産に登録された奄美大島では、クルマと動物の接触事故「ロードキル」が深刻な課題となっている。環境省の調査によると『アマミノクロウサギ』のロードキル件数は、7年連続で増加しており、2023年には過去最多の147件を記録している。また、全国で起きているロードキルの実態としては、国土交通省によると2022年度には直轄国道で7万件、高速道路では5.1万件のロードキルが発生。犬、猫、狸、鳥類、鹿など、様々な種類の動物がロードキルに遭う状況が続いている。

日産では、テストデバイスを搭載したEV『サクラ』による走行実験を奄美大島にて2024年12月よりスタート。森林地域内の市道スタル俣(利用規制道路)にて、アマミノクロウサギの出現する夜間に10km/hで走行を行ない高周波音の有無での挙動データを収集。実証実験段階ではあるが、高周波音のスイッチを入れた途端にアマミノクロウサギが逃げ出すという動作が確認でき、実験より得られたデータをもとに、通常速度での走行実験をはじめ、今後プロジェクトの活動をさらに深めていく予定としている。