低燃費や走りやすさを追求し設計されたトヨタの空力性能とは

さて、低燃費を実現する為にどうするかを考えた時にまず頭に浮かぶのは、軽量化やパワートレーン(エンジンなど)の性能向上だと思います。実際、低燃費エンジンの開発や、ガソリンエンジンと電気モーターの組み合わせによるハイブリッド車の技術が進歩しており、低燃費に貢献している。そして、さらなる低燃費を実現するには、空気抵抗を少しでも減らす事が必要になる。つまり、ボディデザインから車体底部など、さまざまな箇所で空力性能の向上が求められる。
◆空気抵抗係数とは
CD値とは、どの位スムーズに空気が流れるかという空気抵抗係数を表し、CD値が小さいほど空気抵抗が少ないことを意味する。
ボディの形状は、スポーツカーのような流線型のスタイルが有利で、ボディ後端は切り落とした形状よりも、なだらかに下がっている方が良いとされている。ただし、CD値が小さくても、前面投影面積の大きい車種の場合は空気抵抗が大きくなり、逆にCDが大きくても、軽自動車のように小さなボディの場合は、空気抵抗は小さくなる。
◆トヨタ「プリウス」
プリウスのボディは、無駄のないフォルムで、空力性能に優れた燃費や走りの良さを追求したトヨタの主力車種になる。
現行モデルである4代目プリウスは、先代プリウスよりもルーフ頂点からリヤへと流れるような滑らかな形状にした事で、空気の流れがよりスムーズになり、CD値0.24(トヨタ社内測定値)を実現。特に後方への空気の流れを重視し、リヤバンパーやリアコンビネーションランプの形状を工夫している。もちろんフロントの空気抵抗を減らす工夫もしている。また、ドアミラーやルーフアンテナも空力性能とデザイン性を両立したデザインを採用。
更に空気抵抗を減らし、燃費効率を高める為には、車体の底部の整流効果改善も重要です。4代目プリウスでは、エンジンアンダーカバーとフロアカバーの範囲を拡大させると共に、カバーの穴を極力少なくフラットにする事で、床下の整流効果を大幅に向上させた。タイヤ前にはスパッツを設置し、タイヤへの空気抵抗を減らした。また、正面から風を受けるフロントバンパー下部には、自動開閉するグリルシャッターを設けている。
走行状態やエンジンの暖まり具合に応じて、冷却不要時にはシャッターを閉じ、空気の流れを積極的に床下に導き、床下の整流効果を高めると同時に、エンジンの暖機時にはエンジンが暖まりやすくなる効果もある。