フェラーリ、特別仕様車「296スペシャル」「296スペシャルA」50CVアップの880CV実現とダウンフォース20%向上
フェラーリは、4月29日(現地時間)に『296GTB』のスペシャルバージョンとなる「296 Speciale(スペシャル)」と、同RHT(リトラクタブル・ハード・トップ)モデル「296スペシャルA」を発表した。

「296スペシャル」に搭載されるV型6気筒2.9リッターターボエンジンは、ワンメイクレース「フェラーリチャレンジトロフェオピレリ」参戦用レースマシン「296チャレンジ」が採用しているチタン製コネクティングロッド、強化ピストン、軽量化クランクシャフトを取り入れたほか、エンジン制御マップ、ブーストストラテジーを継承しつつ、F1技術ノッキングコントロールシステムも採用し、ベースの663CVから37CVアップの700CVを発生。また、7.45kWのハイブリッドシステムは、新たにエクストラブーストモードが加わり、167CVから180CVへとアップグレードし、システムトータル最高出力は830CVから50CVアップの880CVをマーク。エンジン本体は、チタンといった軽量材を使用したほか、2023年と2024年のル・マン24時間レースで優勝したレーシングカー「499P」のエンジンと同じ手法で余計な金属を切削したエンジンブロックと、クランクケースを採用するなどトータルで9kgの削減に成功。ボディシェルの一部にカーボンファイバー、『296GTB』よりも60kgの軽量化を実現。パワーウェイトレシオは、1.6kg/CVと、パワーと共に後輪駆動のフェラーリ市販車では史上最高値となる。







空力では、「296チャレンジ」のエアロダンパーコンセプトを継承し、フロントアンダートレイと、フロントボンネットをダクトでつなぎ、気流の一部をアンダーボディからアッパーボディへと導く仕組みを採用。アンダートレイで発生すダウンフォースを増大するだけでなく、ボルテックスジェネレーターのグランドエフェクト効率も向上させている。また、『296GT3』と同様にフロント両サイドに2組のルーバーを配置。フェンダー周辺に発生する強力な下向きの力を利用して、タイヤハウス内の圧力低減を実現。さらに、リアバンパーに垂直フィンを追加したほか、垂直フィンと一体化したサイドウィングを新たに配置。リアセクションの中央にある可変リアスポイラーとの相乗効果でさらなるダウンフォースを発生。可変リアスポイラーもアクチュエータ制御を刷新し、LD(ロードラッグ)からHD(ハイドラッグ)への移行時間を50%短縮しただけでなく、新たにMD(ミディアム・ダウンフォース)を設定。リアエンドの安定性をさらに向上、『296GTB』よりもダウンフォースを20%増加させ、250km/h時に435kgのダウンフォースを発生。加えて、スプリングとダンパーのセッティングを見直し、車高を『296GTB』よりも5mmダウンを実施したことで、コーナリング時の最大ロール角を13%低減。同時に6Dセンサーや車速も検知する最新世代の「ABS Evo」を採用し、あらゆる路面やグリップ状況でのブレーキングの正確性を向上させている。




「296スペシャル」のボディサイズは、全長4625㎜×全幅1968㎜×全高1181mm、ホイールベース2600mm。乾燥重量は、1410kg。フロントトレッド幅は、1665mmで、リアトレッド幅は、1632mm、重量配分は前40%:後60%。タイヤサイズは、前245/35ZR20(ホイール9.0J)、後305/35ZR20(ホイール11.0J)。

「296スペシャルA」は、主にAピラー、Bピラー、サイドシル周辺に手が加えられ、ねじり剛性と曲げ剛性の最適化が図られている。また、エンジンカバーは、さらに奥まった位置に配置され、独特の外観を生み出している。「296スペシャルA」のボディサイズは、全長4625㎜×全幅1968㎜×全高1181㎜、ホイールベース2600mm。乾燥重量は、1490kg。







