トヨタ センチュリー新旧比較

センチュリーは日本車で唯一、後席の居住性を重視して開発されたモデルになる。主な顧客は法人で、重役が移動する時の社用車などに使われる。初代モデルは1967年に発売、2代目の先代型は1997年、新型になる3代目は2018年に21年ぶりのフルモデルチェンジを実施。エンジンからプラットフォームまですべて刷新された。
先代型にはセンチュリー専用に開発されたV型12気筒5Lエンジンを搭載していたが、新型にはV型8気筒5Lのハイブリッド(HV)システムを搭載。新型はプラットフォームも含めて先代レクサスLS600hからの流用になる。また、先代LS600hは高い動力性能を路面へ的確に伝えるためにフルタイム4WDを採用していたが、新型センチュリーでは後輪駆動になる。
先代型に搭載していたV型12気筒という特別なエンジンは、電子制御機能や燃料ポンプは左右6気筒ごとに別々に構成され、2つの6気筒エンジンを合体させた構造だった。そのためにエンジンのトラブルが生じても、片側6気筒で走行を続けられる特別な価値があった。
先代型のV型12気筒5Lエンジンは、最高出力が280馬力、最大トルクは49kg-mと控え目だったが、ノイズはきわめて小さく回転感覚も滑らかだった。新型はV型8気筒にモーターを併用するHV車にし、ノイズをさらに小さく抑え込んだ。高回転域まで回して走る車ではないが、先代LS600hと同じHVシステムを採用しているから吹き上がりは良い。やっぱり技術が日々向上している中、21年ぶりのフルモデルチェンジという事もあり、動力性能は新型が上まわる。
新旧を比べて、新型が最も大きく進化したのが操舵感と走行安定性。先代型の操舵感は、今のLサイズセダンに比べると正確性が低かった。ハンドルを切り始めた時の車両の動きが曖昧で、路面の状態も分かりにくい。新型はそこを大幅に改善し、ハンドルを切り込む時の反応は鈍めだが、路面の状態はそれなりに分かりやすい。また、ハンドルを切り込んだ時の車両の反応も、先代型に比べると唐突感が薄れた。
ドライブモードセレクトも装着され、ノーマル/エコ/スポーツS/スポーツS+の4モードを備える。スポーツS+を選ぶとエアサスペンションのセッティングが硬めになる。低速域では床面の振動が若干気になるからノーマルモードが適するが、路面状態が優れた高速道路でスポーツS+を選ぶと、快適性を妨げずに安定性を高められる。
乗り心地と車内の静かさは、先代型も高い水準にあったが、新型はさらに引き上げられており、ノーマルモードで走ると特に後席は極上の乗り心地となっている。路面から伝わるショックを吸収しながら、フワフワした余分な動きを抑えた。例えば、歩道から車道に乗り入れるような大きな上下動が伴う段差でもほぼ完全に吸収し、快適性を保つほど先代型からさらに進化している。新型はV型8気筒ながらもHVだから、モーターのみの走行も行われ、アクセルペダルを深く踏み込んだ時を除くとV型12気筒の先代型よりもさらに静粛性も優れている。
外観は伝統が重視される最高級セダンなので、塗装も入念に行われ、鏡のような光沢を醸し出すボディなど共通性を持たせている。ボディサイズは、先代型が全長5270mm、全幅1890mm、全高1475mmで、新型は全長5335mm、全幅1930mm、全高1505mm。ホイールベースも先代型が3025mmで、新型は3090mmに伸び、最小回転半径は先代型が5.7mで、新型が5.9mになった。新型の方が少し大きくなっている。新型のタイヤサイズは18インチ(225/55R18)を装着。先代型の16インチ(225/60R16)に比べると、ホイールサイズが2インチ拡大された。
センチュリーは新旧モデルともに日本のセダンでは最大級の室内空間を備える。室内は高級セダンだからインパネ周辺も上質だが、基本的に職業ドライバーが運転する車なので、新旧モデル共にメッキパーツの使用箇所も少なく、見栄えよりも機能が優先されている。また、インパネは水平基調のデザインで視認性も良い。今の日本車の前席は、着座姿勢を安定させるために体の沈み込みを抑えるが、センチュリーは新型も少し柔らかく、乗員の体が沈んだところで支えるタイプになる。前席の背もたれは、先代型では肩まわりのサポート性がいまひとつだったが、新型はしっかりと支える。また、大腿部のサポートも良くなった。後席も新旧モデルともに座り心地を柔軟に仕上げた。新旧モデルを比べると、新型は肩まわりから大腿部まで一層確実に支える。特に腰まわりのサポート性が向上した。シートの座り心地は、先代型に比べると新型の方が優れている。
新型はホイールベースが65mm伸びた分後席の足元空間も広がった。新型の足元空間は、セダンでは最大級になる。後席のシートアレンジは、先代型も電動リクライニングを採用していたが、新型ではシートバックの上側を起こすなど、さらに細かな調節が行える。先代型は助手席の背もたれの中央が後方へ反転する造りで、オットマンを使用すると助手席に座れなかったが、新型では助手席の背面に装着された別体のオットマンが張り出す。更に左側のシートにはリフレッシュ機能(マッサージ機能)も内蔵され、新型では複数の作動パターンを選べて快適性を高めた。
先代型には緊急自動ブレーキが装着されなかったが、新型はかなり充実させた。トヨタセーフティセンスが備わり、センサーにはミリ波レーダーと単眼カメラを使用。歩行者も検知して、衝突の危険が迫ると警報を発したり緊急自動ブレーキを作動させる。更に後方の並走車両を検知して知らせる機能も採用した。しかし、現時点では自転車を検知や歩行者の夜間対応も含めて進化の余地を残すが、それでも先代型に比べれば衝突回避性能は格段に向上した。エアバッグは、運転席のニーエアバッグ、前後席のサイドエアバッグなどが標準装備され、先代型にはなかった前後席のカーテンエアバッグも加えられた。
燃費については先代型のJC08モード燃費は7.6km/Lだったが、新型は13.6km/Lに達する。先代型から新型に乗り替えると、数値上は燃料代を40%少々節約できる。また、新型は2020年度燃費基準プラス20%に該当するため、エコカー減税の対象に含まれる。購入時に納める自動車取得税を60%、同重量税を75%軽減することが可能。
新旧モデルともに、グレードは基本的に1種類。先代型にはATレバーをハンドルの部分に装着するコラム式ATが用意されたが、新型ではこれが省かれてフロアシフトになる。価格は先代型の最終型が1253万8286円だったが、新型は700万円以上値上げされ1960万円になる。

