トヨタ、18輪の大型燃料電池トラックを発表 —— ロサンゼルス港で実証実験

トヨタは2017年4月19日、ロサンゼルス港で貨物の運搬に使用する巨大な燃料電池トラックを発表した。この18輪の大型燃料電池トラックは、燃料電池技術が大型商用車に応用できるか否かを検証する大掛かりな実証実験の一部となる。2020年の東京オリンピックでアスリートや観客を会場へと運ぶために、トヨタは100台の燃料電池バスを投入する予定だ。

トヨタは20年以上にわたって燃料電池車の開発を続けている。2015年10月にはカリフォルニア州で、燃料電池車「MIRAI」を5万7500ドル(約630万円)で発売し、現在まで約1500台を販売している。実験に使用するトラックは、「MIRAI」の燃料電池2基と12kWhの駆動用バッテリーを搭載して、高いパフォーマンスを実現した。同社によると670馬力以上、約1800ニュートンメートル(N・m)のトルクを誇る。

ただし、燃料電池車には水素の生産や保存が極めて難しいなど問題点はもある。特に燃料電池車のユーザー拡大を図る為には最も致命的な問題になるのが、インフラが未整備である。電気自動車向けの充電ステーションは1万6000近くあるが、それでも電気自動車のオーナーの多くは「充電が不便」と感じている。しかし、米国エネルギー省によると、アメリカ国内には水素ステーションが34カ所しかなく絶対数が圧倒的に少ない。その上18カ所はカリフォルニア州に集中している。

しかし、インフラ構築という大きな課題を抱えているにもかかわらず、水素エネルギーを支持する人たちは、燃料電池は本質的に優れた技術だと主張する。電気自動車は急速充電器を使った場合でも、充電に最速30分はかかるのに対して、水素タンクはわずか数分で満タンにすることができる。また、燃料電池車は、電気自動車に比べて航続距離が長い。

トラックのビジネスモデルを考慮すると、一回の充填でより遠くまで走行でき、充填時間も早い点は、電気自動車より燃料電池車の方がむいている。

燃料電池技術はまだまだ初期段階の技術だが、これらの自動車メーカーは、技術開発に取り組んでいる。2020年のオリンピック以降、同社は日本市場向けの燃料電池バスの生産も視野に入れている。その他、燃料電池のフォークリフトなど、あらゆるものに展開していく。