トヨタ、タイで小型セダン発売 低価格分野で巻き返し

トヨタ自動車は2017年8月15日、タイで小型セダン「ヤリス・エイティヴ」を発売した。日本円換算で150万円からとなり、同社が東南アジア諸国連合(ASEAN)地域で売るセダンで最安となる。小型車の品ぞろえを増やし幅広い需要を開拓していく。
まず、ASEAN最大の生産拠点を構えるタイで売り出し、周辺国を含む世界各地への輸出を順次始める。
タイには、3代目になる主力の小型セダン「ヴィオス」がある。「ヴィオス」には1.5Lのセダンの他に、2017年に発売されたハッチバック「ヴィオスFS」がある。また、現在は販売されていないが、日本市場でも、2012年6月末まではVitzのセダン版になる「BELTA(ベルタ)」を販売していた。
「エイティヴ」は「ヴィオス」と基本構造を共通化し、排気量を1.2L直4の3NR-FEエンジン(87ps/11kgm)にCVTを組み合わせ、小さめのエンジンを採用することなどで、価格を約2割下げた。また、衝突安全性については、ASEAN版NCAPへの対応として、ドライバーの膝保護用を含め、7つのエアッバッグを装備した。
タイでの車両価格の設定は46万9千バーツからで、日本円に換算すると約155万円からになる。また、OPT装備モデルは約205万円になる。タイの新車市場は年83万台(2017年見通し)と、ASEANでインドネシアに次いで規模が大きい。
トヨタは軽自動車技術を持つダイハツ工業と共同で、ASEANなどを市場に想定する新興国向け次世代小型車の開発も進めている。中間層の拡大で車に手が届く消費者が増えていることを踏まえ、小型車で攻勢を強める戦略である。トヨタは現地最大手メーカーではあるものの足元でシェアを落としており、低価格車の投入で巻き返す。