トヨタのハイブリッド車は、次のフェーズへステップアップ

トヨタは、ハイブリッド車(HV)のグローバルでの累計販売台数が、2017年1月末に1000万台の大台を超えたと発表した。また、グローバルでの累計販売台数の経緯を見ると、2007年5月に100万台、を突破し、2013年に500万台に到達。うち、同年6月に「プリウス」の世界累計販売台数300万台突破した。その後も順調に台数をのばし、2016年4月末の900万台突破から約9か月で1000万台を超えた。
トヨタは、従来から「エコカーは普及してこそ環境へ貢献する」という考えのもと、世界の自動車メーカーの中でも熱心にHV車のラインアップ拡大と普及に取り組んできた。1997年8月に発売した初のHV車が「コースターハイブリッドEV」で、1.3Lエンジンを発電用に搭載したHV車になる。だが、この車はマイクロバスで、当然ながら業務用で価格も高価で1000万円を超えていた。
トヨタは飛躍的に燃費を向上させる手段として、1970年代後半からHV車の開発に取り組んでおり、当初はガスタービンとエンジンにより、発電するHV車の試作を行なっていた。しかし、オイルショックなどを経験した事や、国際的に地球温暖化防止のためのCO2削減に取り組む動きが本格的化し始める。それに伴い、1994年に21世紀に適合する車の先行開発が開始され、社内で立ち上げられた研究会の名称がG21プロジェクトである。Gはジェネレーションで、21は21世紀を指す。1994年に、内山田チーフエンジニアのもとで、燃費を大幅に向上させる目標を掲げ、新たな先行開発G21プロジェクトがスタートし、その時点では燃費を50%改善するという目標を想定していた。しかし、豊田会長らが燃費の50%改善ではなく「カローラ」の2倍の燃費にすることを求められ、それまでの開発は白紙になり、先行技術開発部門からの提案により、未知の技術「ハイブリッド」への挑戦が始まった。
HVシステムについては様々な形式が検討されたが、最終的に最も燃費資質の高い駆動モーター、発電モーター、電気的CVT(動力分割機構)、バッテリーを組み合わせたHVシステムに絞られる。G21プロジェクトは、1999年の発売を目指して開発されていたが、1997年12月に京都で「第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)」が開催されることになる。その為、当時の奥田碩社長からの指示により、発売時期を1997年内とし、10月に初代プリウスを発表。燃費性能は10・15モードで28km/L、価格は215万円。
トヨタはさらにHVシステムを持つ車種を拡大するため、プリウスに続いてミニバン用のシステムも開発。2001年にミニバン初のHV車として、「エスティマハイブリッド」が発売される。その後は、2003年に「アルファード」のHVが発売される。また、これらはミニバン用のTHS-C/E-Fourが採用されている。そして、多種へのHV車種展開が開始され、「エコカーは普及してこそ環境への貢献」という企業ポリシー繋がっていく。
2003年に登場した2代目プリウスは、大量生産を前提にしたグローバルモデルとして開発され、初代の4ドアセダンから5ドアハッチバックへと、ボディ形状を変更し、グローバル市場を前提に全幅を拡大し、ホイールベースも延長された。またHVシステムはTHS-Ⅱに進化し、モーター出力を高め、同時に燃費も向上させている。
国内では、2005年にSUVの「ハリアー」「クルーガー」、2008年には「クラウン」のHV仕様車、翌年の2009年には3代目プリウスを発売する。2011年には、人気の車種のコンパクトカー「アクア」が登場。さらに2013年には、トヨタの代名詞でもあるカローラにもHV仕様車が登場。その後「ヴォクシー/ノア」「シエンタ」などにも搭載、2015年の末には、4代目プリウスが発売される。
トヨタのHVシステムは普及の過程で進化している。プリウスPHVのようにより大容量のバッテリーを搭載したプラグインHVへの発展である。従来のHVシステムを活かし、充電によってエネルギー補給することで、さらなるガソリン消費を低減することが可能になった。初代プリウスPHVは、2011年11月に発売され、2017年2月に発売された2代目に引き継がれている。
そして、2016年12月に登場したSUV「CH-R」。ヨーロッパでも、グローバルでも通用する走りを目指して開発されたC-HRは、市街地ではモーターによる静粛でトルクフルな発進ができ、加速時にはエンジンとモーターの両方のトルクによる力強さが感じられ、スピートの伸びに合わせたリニアな加速が実現されている。そして、低燃費を兼ね備えたC-HRの走りは、HV車の新しい未来を切り開いたといいだろう。

